介護施設の種類はたくさんありますが、それぞれどのような人が利用しているのか、具体的にイメージしにくい方もいるのではないでしょうか?
この記事では、介護の現場で働くことを検討している方や、ご家族の介護について考えている方に向けて、
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 訪問介護
の3つの施設・サービスについて、利用者の特徴を詳しく解説します。それぞれの違いを知ることで、ご自身やご家族にとって最適な選択ができるようになるでしょう。
1. 特別養護老人ホーム(特養)の利用者はどんな人?
1-1. 特養の主な特徴
特養は、日常生活において常に介護が必要な高齢者が、終の棲家として利用する施設です。入居者の方々は、手厚い介護を受けながら、生活を送ります。
1-2. 利用者の要件と状況
- 要介護度: 原則として、要介護3以上の認定を受けている高齢者が対象です。ただし、特例として、やむを得ない事情がある場合は、要介護1、2の方も入所できる場合があります。
- 主な状況: 慢性的な疾患や認知症などにより、日常生活のほとんどにおいて介護が必要な方。寝たきりの方や、医療的な処置が必要な方も多く入所しています。
- 特徴: 自宅での生活が困難な方が、生活の場として利用します。
1-3. 特養での主なサービス内容
- 身体介護: 食事、入浴、排泄、着替えなどの介助。
- 生活援助: 居室の掃除、洗濯など。
- 医療ケア: 服薬管理、褥瘡(床ずれ)ケア、その他医療処置(必要に応じて)。
- レクリエーション: 季節の行事や、趣味活動など。
- 看取り: 終末期ケア、看取り介護。
1-4. 特養の年齢層
高齢者が中心ですが、65歳未満でも特定疾病(末期がん、脳血管疾患など)により、要介護3以上の認定を受けた方も利用できます。
2. 介護老人保健施設(老健)の利用者はどんな人?
2-1. 老健の主な特徴
老健は、在宅復帰を目標に、リハビリテーションを中心とした医療ケアを提供する施設です。病気や怪我で入院した後、自宅に戻るための準備をしたり、在宅での生活を継続するために必要なサポートを受けたりすることができます。
2-2. 利用者の要件と状況
- 要介護度: 要介護1~5の認定を受けている高齢者が対象です。
- 主な状況: 病気や怪我で入院した後、自宅に戻るためのリハビリテーションを必要とする方。または、在宅での生活を継続するために、医療的な管理やリハビリテーションが必要な方。
- 特徴: 在宅復帰を目標としており、入所期間は比較的短期間(数ヶ月)であることが多いです。
2-3. 老健での主なサービス内容
- リハビリテーション: 理学療法(PT)、作業療法(OT)、言語聴覚療法(ST)など、専門職によるリハビリテーション。
- 医療ケア: 医師の診察、看護師による医療処置、服薬管理など。
- 身体介護: 食事、入浴、排泄などの介助。
- 生活援助: 居室の掃除、洗濯など。
- レクリエーション: 機能訓練を兼ねたレクリエーションや、趣味活動など。
2-4. 老健の年齢層
高齢者が中心ですが、病状によっては比較的若い方も利用することがあります。
3. 訪問介護の利用者はどんな人?
3-1. 訪問介護の主な特徴
訪問介護は、利用者の自宅を訪問し、日常生活をサポートするサービスです。自宅での生活を継続するために、様々な支援を提供します。
3-2. 利用者の要件と状況
- 要介護度: 要介護1~5、または要支援1・2の認定を受けている高齢者、障害のある方が対象です。
- 主な状況: 自宅での生活を継続するために、日常生活の一部または全部に介護が必要な方。
- 特徴: 身体的な介護だけでなく、生活援助(掃除、洗濯、調理など)を必要とする方も多く、一人暮らしの方、ご家族と同居していても介護力が不足している方など、様々な方が利用しています。
3-3. 訪問介護での主なサービス内容
- 身体介護: 食事、入浴、排泄などの介助。
- 生活援助: 掃除、洗濯、調理、買い物など。
- 通院・外出支援: 通院や、買い物などの外出の付き添い。
- 服薬管理: 服薬のサポート。
3-4. 訪問介護の年齢層
幅広い年齢層の方が利用していますが、高齢者が中心です。障害のある方(年齢制限なし)も利用できます。
4. まとめ:自分に合った施設・サービスを選びましょう
この記事では、特養、老健、訪問介護の利用者の特徴について解説しました。
それぞれの施設・サービスには、異なる特徴があります。ご自身やご家族の状況に合わせて、最適な選択をすることが大切です。
- 特養: 終身的な介護が必要な方、自宅での生活が困難な方。
- 老健: 在宅復帰を目指し、リハビリテーションや医療ケアが必要な方。
- 訪問介護: 自宅での生活を継続したい方、身体介護や生活援助が必要な方。
それぞれの違いを理解し、ご自身の状況に合った施設・サービスを選びましょう。もし迷う場合は、ケアマネージャーや専門家にご相談ください。
補足:
- 施設の利用条件やサービス内容は、施設によって異なります。事前に確認しましょう。
- 介護保険制度を利用するには、要介護認定を受ける必要があります。
- ご不明な点があれば、お気軽に専門家にご相談ください。