ご家族様へのサポート

特別支援学校と放課後等デイサービスを併用することは可能です。

むしろ、特別支援学校に通っている多くのお子さんが、放課後や長期休暇中に放課後等デイサービスを利用しており、これは非常に一般的な形です。

どのように併用するの？（具体的なイメージ）

多くの場合、以下のような流れになります。

1. 平日（学校がある日）
   • 午前〜午後：特別支援学校で学習や自立活動を行う。
   • 放課後：学校が終わる時間に、放課後等デイサービスの送迎車が学校まで迎えに来てくれる。
   • 事業所に移動し、夕方まで宿題をしたり、お友達と遊んだり、プログラムに参加したりして過ごす。
   • 夕方：事業所の送迎車で自宅まで送ってもらう。
2. 土曜日や夏休みなどの長期休暇
   • 朝から夕方まで、一日を通して放課後等デイサービスを利用する。
   • 外出イベントや調理実習など、平日にはできない特別な活動が組まれていることも多いです。

併用するメリット

特別支援学校（教育）と放課後等デイサービス（福祉）という、異なる役割を持つ二つのサービスを組み合わせることで、お子様とご家族にとって多くのメリットがあります。

お子様にとってのメリット

• 多様な経験が積める：
  学校という「学びの場」と、デイサービスという「遊びや生活の場」の両方を経験することで、学習面と社会性の両方をバランス良く伸ばすことができます。
• 人間関係が広がる：
  学校の友達とは別に、デイサービスで他の学校に通う友達と出会う機会が生まれ、お子様の社会的な世界が広がります。
• 一貫したサポートが受けられる：
  平日の日中から放課後、そして休日まで、切れ目のないサポート体制を築くことができます。

ご家族にとってのメリット

• レスパイトケア（保護者の休息）：
  お子様が安全な場所で過ごしてくれることで、保護者の方が仕事に集中したり、家事をしたり、ご自身の時間を持ったり、他の兄弟姉妹と向き合う時間を作ったりすることができます。これは精神的な負担の軽減に大きく繋がります。
• 安心感：
  特に共働きのご家庭などでは、学校が終わった後もお子様を安心して預けられる場所があることは、大きな支えとなります。
• 相談相手が増える：
  学校の先生だけでなく、デイサービスのスタッフにも子育ての悩みや子どもの様子について相談できるため、多様な視点からアドバイスをもらえます。

併用する上でのポイント

• お子様の体力： 学校とデイサービスの両方を利用すると、お子様によっては疲れてしまうこともあります。利用日数や時間を調整するなど、お子様の様子をよく見ながら検討することが大切です。
• 学校と事業所の連携： 連絡帳などを通じて、学校での様子とデイサービスでの様子を互いに共有できると、より一貫性のあるサポートに繋がります。

このように、二つを併用することはお子様の成長を多角的に支え、同時にご家族の生活をサポートする上で非常に有効な方法です。

費用についても、特別支援学校と放課後等デイサービスでは仕組みが全く異なりますね。それぞれ詳しくご説明します。

一言でまとめると、

• 特別支援学校：公立の学校なので、授業料は無料。
• 放課後等デイサービス：福祉サービスなので、所得に応じた負担上限がある。

という大きな違いがあります。

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特別支援学校にかかる費用

特別支援学校は、地域の小中学校と同じ「公立の学校」です。そのため、授業料や教科書代はかかりません。

ただし、学校生活を送る上で、以下のような費用が実費でかかります。これは基本的に地域の公立小中学校と同じです。

• 給食費
• PTA会費
• 教材費（ドリルや制作で使う材料など）
• 学用品代（ノート、文房具など）
• 制服・体操服代（学校によって異なります）
• 修学旅行や校外学習の積立金

【重要】手厚い補助制度「就学奨励費」

特別支援学校に通う家庭の経済的負担を軽減するため、**「就学奨励費（しゅうがくしょうれいひ）」**という国の補助制度があります。

これは、世帯の収入に応じて、上記で挙げた給食費や学用品費、通学交通費、修学旅行費などの一部または全部が補助される制度です。

多くのご家庭がこの制度の対象となるため、実際の負担はかなり軽減されることが多いです。入学が決まった後、学校から案内がありますので、必ず確認・申請するようにしましょう。

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放課後等デイサービスにかかる費用

放課後等デイサービスは「児童福祉法」に基づく福祉サービスです。そのため、利用料の仕組みが少し特殊です。

1. 基本的な仕組み：「1割負担」と「負担上限月額」

サービスの利用にかかった総費用のうち、9割は国と自治体が負担し、利用者は1割を負担します。

ただし、ご家庭の負担が大きくなりすぎないように、所得に応じて1ヶ月あたりの負担額に上限が設けられています。これを**「負担上限月額（ふたんじょうげんげつがく）」**と言います。

つまり、月に何回利用しても、この上限額を超えて請求されることはありません。

2. 所得ごとの負担上限月額

負担上限月額は、世帯の所得によって以下の3つの区分に分かれています。

世帯の所得状況	負担上限月額
① 生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯	0円
② 市町村民税課税世帯（所得割28万円未満）	4,600円
③ 上記以外（所得割28万円以上）	37,200円

ポイント

• 利用者の約9割が、②の「4,600円」に該当すると言われています。
• 「所得割28万円未満」とは、おおよその目安として世帯年収が890万円未満の世帯が該当します。

【具体例】
負担上限月額が4,600円のご家庭の場合、

• 1回1,000円のサービスを月に10回（合計10,000円）利用しても…
  → 支払う金額は4,600円です。
• 1回1,000円のサービスを月に3回（合計3,000円）利用した場合は…
  → 支払う金額は3,000円です。（上限に達していないため、利用した分だけ支払う）

3. 利用料以外にかかる費用（実費負担）

上記の利用料とは別に、以下のような費用が実費でかかることがあります。これは事業所によって異なります。

• おやつ代（1回50円〜100円程度）
• 創作活動などの材料費
• 外出イベント時の交通費や入場料

これらの実費は、負担上限月額の対象外となりますのでご注意ください。

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まとめ：費用の比較表

項目	特別支援学校	放課後等デイサービス
基本費用	授業料・教科書代は無料	利用者負担1割
負担上限	なし（ただし就学奨励費で手厚く補助）	月額0円 / 4,600円 / 37,200円
その他費用	給食費、教材費、PTA会費、学用品代など	おやつ代、イベント参加費、教材費など
根拠	公立学校としての制度	福祉サービスとしての制度（所得に応じた負担）

結論として、
両サービスとも、ご家庭の経済的な負担が大きくならないような仕組みが整っています。

より具体的な金額については、放課後等デイサービスの場合はお住まいの市町村の福祉担当窓口に、特別支援学校については教育委員会や学校に直接問い合わせてみるのが最も確実です。

鋭いご質問ですね。特別支援学校と放課後等デイサービスは、どちらも子どもの成長を支える大切な場所ですが、役割が全く異なるため、「どちらを優先するか」という考え方よりも、**「まず、どの学校に通うかを決め、その上で放課後の時間をどうするかを考える」**というステップで検討するのが一般的です。

この2つは「AかBか」の選択肢ではなく、「学校（教育）」と「学童＋習い事（福祉・療育）」のように、組み合わせることを前提とした補完関係にあると捉えると分かりやすいかと思います。

その上で、ご家庭やお子様の状況によって、どちらの検討により重きを置くかが変わってきます。判断基準を以下にまとめました。

判断基準１：お子様の「最も支援が必要な核となる部分」は何か？

まず、お子様にとって「日中の多くの時間を過ごす場所」として、どのような環境が最も成長につながるかを考えます。これは**「就学先の選択」**にあたります。

A) 「特別支援学校」の検討を優先した方がよいケース

専門性の高い環境で、学習や生活スキルをじっくり学ぶ必要がある場合に適しています。

• 手厚い学習支援を最優先したい
  • 一人ひとりの特性に合わせた個別化された教育計画（IEP）のもとで、専門的な教員から学びたい。
  • 非常に少人数のクラスで、きめ細やかな指導を受けさせたい。
• 専門的なリハビリや医療的ケアが必要
  • 理学療法士（PT）や作業療法士（OT）、言語聴覚士（ST）による訓練を、学校生活の中で継続的に受けたい。
  • 日常的に医療的ケア（痰の吸引、経管栄養など）が必要で、看護師が常駐する環境が安心。
• 生活スキルの習得を重視したい
  • 着替え、食事、トイレなど、日常生活の自立に向けたトレーニングを教育の中心に据えたい。

B) 「地域の学校の特別支援学級」も視野に入れるケース

地域の友達との関わりや、インクルーシブな環境を重視する場合に検討します。
（この場合も、放課後等デイサービスの併用は可能です）

• 地域の友達との交流を大切にしたい
  • 近所のお子さんとの関わりの中で社会性を育んでほしい。
  • 通常学級の授業（音楽、図工、体育など）にも一部参加し、多様な集団生活を経験させたい。
• 比較的、身辺自立が進んでいる
  • 学習面でのサポートは必要だが、日常生活の基本的なことは自分でできる。

→ まずは市町村の「就学相談」で、専門家と一緒にAかBかを考えるのが第一歩です。

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判断基準２：ご家庭の状況と「放課後の時間の使い方」をどうしたいか？

次に、学校が決まった上で、放課後や長期休暇の過ごし方を考えます。ここで**「放課後等デイサービスの必要性」**を判断します。

「放課後等デイサービス」の利用を積極的に検討した方がよいケース

学校だけでは得られない経験や、ご家庭のサポートとして必要性が高い場合に適しています。

• 保護者のレスパイト（休息）や就労のために時間が必要
  • 共働きで、放課後や長期休暇中に子どもを見てくれる人がいない。
  • 保護者が休息をとったり、他の兄弟姉妹と向き合ったりする時間がほしい。
• 学校以外の「居場所」や「友達」を作ってあげたい
  • 学校とは違う環境で、リラックスして過ごせる場所が必要。
  • 他の学校の友達と出会うなど、人間関係を広げてあげたい。
• 社会性や特定のスキルを伸ばしたい
  • SST（ソーシャルスキルトレーニング）など、専門的なプログラムを受けさせたい。
  • 運動、音楽、アートなど、子どもの好きなことや得意なことを伸ばす機会を作りたい。

まとめ：検討のステップ

1. 【STEP1：就学相談】
   まずはお住まいの市町村の教育委員会などが行う**「就学相談」**に行きましょう。ここでお子様の特性や状況を相談し、専門家と一緒に「特別支援学校」と「地域の学校の特別支援学級」のどちらがより合っているかを検討します。

2. 【STEP2：学校見学】
   就学相談と並行して、候補となる特別支援学校や地域の学校の支援学級を必ず見学してください。学校の雰囲気、先生方の様子、通っている子どもたちの表情など、資料だけでは分からないことがたくさんあります。

3. 【STEP3：放デイの見学・検討】
   日中の学校生活のイメージが固まってきたら、次に放課後の過ごし方を考えます。自宅や学校の近くにある放課後等デイサービスをいくつか見学し、プログラム内容や雰囲気、送迎の有無などを比較検討します。

結論として、優先順位は「①就学先の決定 → ②放課後の過ごし方の決定」という流れになります。

しかし、実際にはこれらを同時並行で情報収集していくことになります。まずはお気軽に「就学相談」の窓口を訪ねて、第一歩を踏み出してみてください。専門家が親身に相談に乗ってくれますよ。